「〇〇 to earn」という世界
これまで、色々なNFTプロジェクトとブロックチェーンの活用事例を見てきましたが、まだまだ知らないビジネスがweb3に存在してます。複雑そうなので敬遠していましたが、少し深堀をしてみようと思います。
はい。ということで、タイトルの通りですがweb3関連のことを調べていると「〇〇して儲かる」という言葉を見ることがあります。 「〇〇」の部分をいくつか並べてみると以下の通りです。
- 遊んで稼ぐ (Play to Earn)
- 動いて稼ぐ (Move to Earn)
- 読んで稼ぐ (Read to Earn)
他にも種類はあるのですが興味があった3つに絞りました。では、上から順番に見ていきます。
遊んで稼ぐ (Play to Earn)
ゲームをプレイして稼ぐというジャンルです。ブロックチェーンゲームの代表作として「Axie Infinity」が海外サイトで取り上げられていました。2018年からサービスを開始しています。
実際にプレイしたことはありません (笑) が「ポケモン」のような世界観で「Axie」と呼ばれる仮想のキャラクターを収集・育成 (進化)・繁殖を行い、競技場で別のAxieとバトルをするという戦略ゲームのようです。また、この世界には土地や独自の仮想通貨「$AXS」が存在しています。
手持ちのキャラや土地は、NFTマーケットプレイスで取引することが可能です。また、$AXSについては、ゲーム内の大会イベントで勝利報酬として獲得できるようです。$AXSも取引が可能です。
プレイ参加条件としては、事前にキャラを3体所持しておく必要があります。入手方法は以下の通りです。
- マーケットプレイスでAxieを購入
- スカラーシップ制度を利用
- 個人や企業で所持しているAxieをレンタル (業務委託契約)
- ゲーム内で提供される仕組みではなく、直接契約をやりとりするイメージ
- フリープレイで遊ぶ
- 稼ぐことができるか?については不明
ここまでが「Play to Earn」の概要です。このブロックチェーンゲームは、独自の「RONINネットワーク」で稼働しています。ゲームをプレイするのではなく、このネットワークに対して$AXSを一定期間預けて (ステーキング) 利益を得るという方法もあります。余談です。
https://stake.axieinfinity.com/
参考にこれまでの内容を図にしました。
Ronin ネットワークは、ゲーム開発元が独自に構築しています。規格はイーサリアムに則っています。このネットワークを介してウォレット、マーケットプレイス、分散型取引所を繋ぎ全て自社のサービスで運営している状態です。
こうすることで、各サービス間の取引で発生する手数料を運営側でコントロールができます。運営維持やプレイヤーに配る$AXS に使っているようです。この構成は、ブロックチェーンゲーム開発をする上で一つの型になっていそうです。
動いて稼ぐ (Move to Earn)
「Axie Infinity」の様にゲームをプレイするのではなく、ウォーキングやランニングで体を動かして稼ぐジャンルです。先駆けとなったのは「STEPN」のようです。2021年12月にサービスを開始(パブリックβテスト)しています。
「ポケモンGo」のような位置情報を利用したサービスで、スマートフォンのGPSやモーションセンサーで「人間が移動した」という情報を監視し、その移動距離に対して独自の仮想通貨「$GST・$GAT」を付与するイメージです。サービスデザインは「Axie Infinity」を研究しており、とても似ています。
- 事前に「スニーカー (NFT)」が必要
- マーケットプレイスで購入します。
- スニーカーを「STEPN」アプリにセットをしてから移動します。
- 移動すると$GST (もしくは、$GMT) が増えます。
- スニーカーを使用し続けると耐久力が減ります。
- 修理に$GSTを消費します。
- シューズの生成ができる
- 2つのシューズを掛け合わせて、新しいシューズを生成します。
- 生成時に$GMTトークンを消費します。
- シューズは、マーケットプレイスで販売できます。
- スニーカーのレンタル機能
- 執筆時点では、未実装ですがゲーム内に機能を組み込む予定になっています。
以下が、参考のイメージ図です。
「Axie Infinity」と違って独自のネットワークが存在しませんが、ソラナ、バイナンス、イーサリアムのパブリックチェーンに対応しています。ただし、ゲーム内のシューズや通貨の共有はできないようです。例) イーサリアムで購入したシューズを直接ソラナ上で使うことはできません。
また、ウォレットについては「STEPN」アプリに内蔵されており、事前準備の必要がなくプレイできます。 ユーザー体験が少し緩和されています。 その他、マーケットプレイスと分散型取引所(ソラナのみ)を構築しているようです。
サービスデザインが似ている理由を考察するとブロックチェーンのサービスでマネタイズするには、シューズ (NFT) の売買や取引手数料、独自仮想通貨の価値向上がサービス維持のためには重要なのかなぁと思いました (健康的になったけど資産が減ったというユーザーも少なからず出てくるんじゃないかと)。
とはいえ、このサービスでは人々の健康維持と環境問題の解決に取り組んおり、運動する人が増えることによるCo2削減や収益の一部をカーボンオフセット購入に充てているそうなので、共感が持てるサービスです。今後、靴のメーカー側と組んでキャンペーンをしたりすることで収益が出せるかもしれないので長期的に考えれば悲観的にならなくても良いかとも思いました。
読んで稼ぐ (Read to Earn)
「移動」の次は「読む」です。「Read ON」というサービスです。ここまで来ると「言った者勝ち」だなぁと思いました (笑) が、「Play to Earn」「Move to Earn」のビジネスモデルや今後の新規市場を分析して生まれたサービスです。2022年12月頃からサービスを開始 (オープンβテスト) しています。
仕様については「Read ON」アプリ内で配信された記事や動画に対する実績を計測して独自の仮想通貨「$READ」を付与するイメージです。実績というのは「記事をどれだけ読んだか?」ということです。
スマートフォンのジャイロセンサーや画面スクロール情報を元に「読書した時間」を判定しているようです。また、記事の内容を理解していないと回答できないクイズをAIが記事ごとに作成しています。「STEPN」もそうですが、不正対策が大変そうです。
ゲームデザインについては、恐らく「STEPN」と似ていると思いますが、オープンβテストでは、マーケットプレイスも独自の仮想通貨も未実装の為これから明らかになっていくと思います。
現状 (2023/5/23時点) では$READの代わりにポイント制度を暫定導入し、記事を読むごとにポイントを付与しています。ポイントの使い道は、NFTの作成に使用します。「Read ON」オリジナルでメガネを掛けた猫のNFTです。何れ「STEPN」のようにこのNFTをセットして読書をするイメージです。
既にミントされたNFTがOpenSeaで閲覧できます。
https://opensea.io/collection/readon-catto
https://opensea.io/collection/readon-catto-part
実際に読めるニュースや記事については、web3関連に特化しています。今後、トピックが増えると思いますが筆者にとっては興味がある分野なのでちょうど良いです (笑)。「運動すると健康になる」と同様に「読書をすると知識になる」というアプローチが良いですね。もちろん「ゲームを極めて世界1位になる」も全然否定しません。
とはいえ、人それぞれで必要な知識というのは違うと思うので良質なコンテンツを提供し続けていく運用が難しそうだと思いました。マネタイズについては、広告モデルを採用していくようなので、どのような運用になっていくのか注目です。
ということで、如何だったでしょうか?
ブロックチェーンサービスの構築イメージとマネタイズの仕組みが、3つのサービスを比較することで、少し垣間見れたと思います (情報が間違えていたらごめんなさい)。
最後に、主に参考にしたサイトを記載します。
「Read ON」については、文字数的に収め切れなかったので、別記事にしたいと思います。